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奈良地方裁判所 昭和54年(わ)55号 判決

本籍

奈良県大和郡山市柳四丁目一〇番地

住居

右同 市南郡山町三九九番地

土木建設業

安本秀一

昭和二年四月一九日生

出席検察官

宮下準二

主文

被告人を懲役一年、罰金一千万円に処する。

ただしこの裁判確定の日より三年間右懲役刑につき、刑の執行を猶予する。

被告人において右罰金を完納できないときは金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、奈良県大和郡山市南郡山町三九九番地において、土木建設業を営み同事業のすべてを統轄しているものであるが、自己の右事業に関し所得税を免れようと企て、

第一  昭和五〇年分の総所得金額は、二、五五九万一、六九七円、これに対する所得税額は九〇八万六、五〇〇円であるのにもかかわらず、公表経理上、収入の一部を除外するなどの不正手段により、その所得金額のうち、二、三三一万〇、一六七円を秘匿した上、同五一年三月一五日奈良県奈良市登大路町八一番地所在の所轄奈良税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二二八万一、五三〇円、これに対する所得税額が一四万八、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右年度における正規の所得税額、九〇八万六、五〇〇円と右申告税額との差額八九三万八、四〇〇円をほ脱し、

第二  同五一年分の総所得金額は五、三七四万一、二一二円、これに対する所得税額は二、六四〇万二、九〇〇円であるのにもかかわらず、前同様の不正手段により、その所得金額のうち五、一一〇万二、八五四円を秘匿した上、同五二年三月一五日前記税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二六三万八、三五八円、これに対する所得税額が二一万六、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右年度における正規の所得税額二、六四〇万二、九〇〇円と右申告税額との差額二、六一八万六、一〇〇円をほ脱し、

第三  同五二年分の総所得金額は四、七九七万六、〇四四円、これに対する所得税額は二、二一九万三、七〇〇円であるのにもかかわらず、前同様の不正手段により、その所得金額のうち四、四五三万三、一二七円を秘匿した上、同五三年三月一五日前記税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三四四万二、九一七円、所得税額が三五万九、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右年度における正規の所得税額二、二一九万三、七〇〇円と右申告税額との差額二、一八三万四、六〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

全事実につき

一  被告人の当公廷における供述

一  同人の検察官に対する供述調書

のほか、各事実につき(関係部分はカード記載のとおり)証拠関係カード1ないし85の証拠書類

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条第一項に該当するので所定刑中懲役刑と罰金刑を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文一〇条により懲役刑については法定の加重をした刑期範囲内において被告人を懲役一年に処することとし、情状により刑法二五条一項を適用、この裁判確定の日より三年間右懲役刑の執行を猶予することとし、罰金については同法四八条二項によりその合算額内において罰金一千万円に処することとし、換刑処分につき刑法一八条を適用、主文のとおり判決する。

昭和五四年六月一八日

(裁判官 三好吉忠)

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